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タクシーコラム

Taxi Column

英語力や翻訳アプリの進化が武器になる。訪日外国人旅行者とタクシーの現場から見えること

2026/07/31

    「英語にちょっと自信がある」「学生時代に留学していた」「接客のアルバイトで外国人のお客様と話すのが好きだった」——そんな経験、実はタクシードライバーという仕事で活かせる場面が増えています。

    横浜・川崎エリアは、国内外から多くの旅行者が訪れる場所です。羽田空港からまちへ向かう道すがら、あるいは観光地を巡る道すがら、訪日外国人の方をタクシーにお乗せする機会も増えてきました。今回は、内閣府が実施した訪日外国人向けの移動実態調査をもとに、外国人旅行者が実際にタクシーをどのように利用し、どのような点で困っているのかをご紹介します。データを知ることは、これからタクシードライバーを目指す方にとって、自分の得意なことがどこで役立つのかを考えるヒントにもなるはずです。

    調査の概要

    この調査は、直近1年以内に日本を訪れたことがある外国人(アメリカ・台湾・フランス・オーストラリアの4カ国、各50名の計200名)を対象に、2024年12月19日から26日にかけて実施されたものです。

    回答者の内訳を見ると、日本への訪問回数は「1回」が30.0%と最も多く、「2〜3回」29.0%、「4〜5回」17.0%、「5〜10回」13.0%、「10回以上」11.0%となっており、リピーターも一定数含まれています。滞在期間は「1〜2週間」が36.5%で最多、次いで「2週間〜1カ月」29.5%、「4日〜1週間」21.0%となっており、比較的長期の滞在をする旅行者が多いことがうかがえます。

    滞在中の移動手段としてのタクシー

    滞在時の主な移動手段を複数回答で尋ねたところ、「電車・地下鉄」が80.0%と最も多く、次いで「バス」45.5%、「タクシー」41.0%、「レンタカー」17.5%という結果でした。タクシーは、電車・バスに次ぐ主要な移動手段として選ばれていることが分かります。

    さらに、旅行中にタクシーを「利用した、または利用しようとした」と回答した人は59.5%にのぼりました。裏を返せば、半数近い旅行者が滞在中にタクシーとの接点を持っているということでもあり、決して一部の限られた層だけが使う移動手段ではないことがうかがえます。つまり、タクシードライバーとして働けば、日々の乗務の中で外国人のお客様と接する機会は、思っている以上に多いということです。羽田空港を利用する旅行者にとっても、タクシーは有力な選択肢の一つになっていると考えられます。

    タクシーをどこで手配しているか

    タクシーを手配した場所(複数回答)を見ると、「ホテル・宿泊施設」が86.6%で最も多く、次いで「空港」85.7%、「駅・バス停・バスターミナル」84.0%と続きます。観光地や商業施設(76.5%)、路上(72.3%)、飲食店(68.9%)も一定の割合を占めています。

    このデータを見ると、訪日外国人旅行者にとってタクシーは、移動の起点・終点となる「拠点」で使われることが多い乗り物だといえそうです。羽田空港や横浜・川崎の主要な宿泊エリアも、まさにこうした「拠点」にあたる場所です。空港の到着ロビーを出てすぐの乗り場や、ホテルのフロント前は、外国人のお客様と出会う機会が特に多い場所だといえるでしょう。これからタクシードライバーを目指す方にとっては、こうした場所での乗務が、自分の語学力や気配りを発揮する最初の一歩になるかもしれません。

    タクシー利用で困った経験

    タクシーの利用で「困った経験がある」と回答した人は67.2%と、決して少なくない割合にのぼりました。困った場所としては「空港」が57.8%と最も多く挙がっています。

    具体的な困りごとの内容(複数回答)としては、次のようなものが挙がりました。

    1)タクシー乗り場に行列ができており、乗れなかった/待ち時間が長かった(33.3%)

    2)言語が異なることが理由で、電話での予約ができなかった(20.0%)

    3)タクシー乗り場にタクシーが来なかった/来るまでの待ち時間が長かった(17.8%)

    4)電話で配車依頼をしたが、タクシーがつかまらなかった/待ち時間が長かった(17.8%)

    5)言語が異なることが理由で、行先や支払い等、ドライバーとの意思疎通が難しかった(11.1%)

    こうして見ると、「乗れない・つかまらない」という供給面の課題と並んで、「言語の壁」による困りごとが複数の場面で挙がっていることが分かります。予約の電話でも、乗車後の行き先の確認でも、支払いの場面でも、言葉が通じるかどうかは旅行者にとって小さくない不安要素になっているようです。

    あなたの得意なことが、そのまま強みになる

    ここからは少し視点を変えて、これからタクシードライバーを目指す方に向けてお伝えしたいことがあります。

    今回の調査で浮き彫りになった「言語の壁」という困りごとは、裏を返せば、外国語でのコミュニケーションに自信がある方にとって、大きな強みを発揮できる場面が身近にあるということでもあります。学生時代に英会話を学んだ経験がある方、海外旅行や留学の経験がある方、接客業で外国人のお客様と接した経験がある方にとって、タクシーの現場はその力を発揮できる実践の場になります。

    英語だけに限りません。中国語、韓国語、その他さまざまな言語に触れてきた経験も、乗務の現場では思わぬ形で役立つことがあります。学生時代に語学サークルに所属していた、海外にルーツを持つ友人が多かった、といった経験も、立派な強みになり得ます。

    一方で、「語学に自信がないから難しそう」と感じる必要はありません。近年、スマートフォンの翻訳アプリの精度は驚くほど向上しています。行き先の確認や簡単な案内であれば、翻訳アプリを介したやり取りでも十分に意思疎通できる場面が増えてきました。今回の調査で「言語が異なることが理由で意思疎通が難しかった」と回答した人が11.1%にとどまっている背景には、こうした翻訳ツールの進化も一因としてあるのかもしれません。つまり、完璧な語学力がなくても、道具の力を借りながら、少しずつ自信をつけていける環境が整いつつあるということです。

    (この項目は調査データそのものではなく、平和交通としての見解であることを申し添えます。)

    タクシーの現場でできる工夫

    こうした調査結果を踏まえると、乗務員一人ひとりが日々の乗務の中で意識できる工夫もありそうです。

    ・簡単な英語の挨拶や案内フレーズを覚えておく

    ・スマートフォンの翻訳アプリを活用し、行き先や料金の確認をスムーズにする

    ・身振り手振りやスマートフォンの地図アプリなど、言葉以外の手段も組み合わせる

    ・空港や観光地など、外国人旅行者が多い乗り場では、いつも以上に丁寧な声かけを心がける

    これらは特別な資格や完璧な語学力がなくても、今日から意識できることばかりです。むしろ「困っている人に気づいて、自分にできる範囲で手を差し伸べる」という姿勢そのものが、データに表れている「言語の壁」という課題に対する、最もシンプルで確実な答えなのかもしれません。

    タクシードライバーという仕事は、毎日決まった相手と話す仕事ではありません。今日は空港から来た旅行者、明日は地元の常連さん、というように、乗務のたびに違う出会いがあります。その中で外国人のお客様との会話がうまくいったときの手応えは、きっと大きなやりがいにつながるはずです。

    まとめ

    訪日外国人旅行者の多くがタクシーを利用し、その一方で言語や待ち時間に関する困りごとを抱えている実態が、公的な調査からも見えてきました。この現場は、語学が得意な方にとっては経験を活かせる場所であり、そうでない方にとっても、翻訳アプリなどの助けを借りながら少しずつ挑戦できる場所です。横浜・川崎を拠点に事業を展開する平和交通としても、こうした声を踏まえながら、誰もが安心して利用でき、誰もが自分らしく活躍できる現場を目指していきたいと考えています。

    横浜・川崎エリアには、タクシーで巡る観光の楽しみ方もたくさんあります。あわせてこちらの記事もご覧ください。

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    出典

    ・内閣府規制改革推進室「訪日外国人 移動実態等に関する調査結果」, https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/2409_05local/local_material/local_250131_2.pdf, 2025-01(調査期間:2024-12-19〜2024-12-26)

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